診断治療画像工学

内視鏡のインテリジェント化と次世代診断治療の開発

(1) 課題の目的

DSTグループは、画像認識理解技術を核としたソフトウエアによる診断手術支援工学技術を発展させ、内視鏡と融合することで、新しい治療支援術の確立を目指す。ソフトウエアとして実装された「名医」による内視鏡支援技術の実現を目指す。

(2) 課題の目標(ミッションステートメント)

  • (1) 仮想化画像と実際の内視鏡画像とを融合する技術
  • (2) コンピュータ上に格納された人体解剖学的構造情報(人体アトラス)とのマッチングする技術
  • (3) CTなどの断層静止画像から3次元精密人体構造を認識理解する技術

(3) プロジェクトの成果

仮想化画像と実際の内視鏡画像との融合技術
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GPUと呼ばれる高速の演算装置を利用することで、CT像から構築される仮想化内視鏡像と内視鏡画像同士を高速にマッチ ングする技術を開発し、患者の呼吸の影響を受けることなく高精度な追跡を可能とした。従来は1フレームしか処理できなかったが、新手法では1秒当り15フ レームでの処理が可能となった

人体解剖学的構造情報と
内視鏡画像のマッチング技術

超小型位置センサを含む複数のセンサ情報とあらかじめ撮影されたCT像に含まれる人体解剖学的構造情報をリアルタイムで 統合し、精密/高速/頑健に内視鏡位置を追跡する手法を実現した。約(1).0-(2).0mmの精度を保ちながら仮想化内視鏡と実際の内視鏡とが連動す ることを確認した。

断層静止画像から3次元超精密人体画像を再構築する技術

CT像などから人体の種々の臓器領域を抽出する手法を実現した。大腸内のポリープ検出手法では、ヘッセ行列の固有値を用 いた塊状および逆塊状構造強調フィルタを新たに開発し、ポリープ検出性能が大幅に向上した。CT像104例を用いた実験により、直径6mm以上のポリープ の91.2%を検出することが可能であることを確認した。