インフォマティクス

生活習慣病の包括的リスク診断

(1) 課題の目的


図1 エンテロトキシンに特異性のある
修飾型DNAアプタマーをチップに適用し、
エンテロトキシンの高速検出に成功

メタボリックシンドローム(MetS)対象者に対して、オーダーメイド保健指導を行えるシステムを構築する。具体的に は、どのような人(遺伝子型)に対して、どのような保健指導が効果的であったかを、様々な因子を含めて解析することによって、原因因子とその組合せを同定 し、これを診断可能なチップを開発する。2008年から開始された特定検診制度は、各企業に早急なMetS対策を求めている。また、日本人の約30%が死 亡するとされる脳心血管系疾患には、MetSが大きく関与している。このため、日本人のMetSを正確に予測するシステムの開発は、社会の求める予防医 療·早期診断の実現のために急務である。

(2) 課題の目標(ミッションステートメント)

患者数の多い疾患に関連のある遺伝子の探索と500遺伝子程度をスポッティングした安価な診断アレイの開発。医師のノウハウが組み込めるような、対話型のインターフェイスの構築。

(3) プロジェクトの成果

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図2 実用に適した非標識生体
試料解析デバイスの開発に成功

ITグループでは、有効かつ新規な解析手法の確立として、バイオインフォマティクス技術を用いた、遺伝子発現解析、 SNP解析用の新規アルゴリズムの開発を行い、名古屋大学ですでに開発済みの遺伝子発現解析ソフトGeneFISに組み込む他、新規患者に予測結果を説明 しやすいGUIを強化し、遺伝子多型(SNP)や環境因子データの解析にも対応した新バージョン(MyFIS)を開発した。
また、MetS対象サンプルとして日本ガイシ社員3600名の血液成分分析やSNPタイピングを行い、カルテデータ(生活習慣·身体所見·血液検査)と 合わせたMetSデータベースを構築した。また、本データベースの構築にあたり、メタボリックに関連した対象約70SNPを搭載したSNPアレイ(日本ガ イシ)を確立した。
MyFISを用いてMetSデータベースの解析を行った結果、MetSになりやすい因子としていくつかの検査値とSNPの組合せを新たに発見するに至った。